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長崎は走った。横になっている香川に近づく。香川がいった。
「コーン・ラーメンが食べたい。」
長崎はたかぶる感情を押さえこんで言った。
「…わかった。出前をとろう。」
携帯をとりだし電話する長崎。その手は少し震えていた。電話を終えた長崎は言った。
「十分くらいで来るらしいから待ってろ。」
「ご苦労様」
香川は長崎の気を知ってか知らずか、のんきに笑っている。長崎は、もう胸腹が煮えたぎるような、トロトロになるような感覚におちいる。つかの間の静寂のあと、香川が言った。
「私たちが出会ったときのこと覚えてる?ふふ」
「ああ。あれほどバカなことにはもう死ぬまで出会わないだろうな。」
実際香川に出会わなければ、長崎の人生はこんな展開にはなっていなかったはずだ。
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