第6章 からだからだ

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マキちゃんのスペシャルカクテルですっかり元気になったあたしは、お会計を済ませてお店を出た。すると程なくして、すみません、と声をかけられた。振り返ると、さっきマキちゃんのお店にいたお客さんだった。手にはレディースブランドの紙袋。あたしの忘れ物だ。   「ごめんなさい、ありがとうございます。うっかりしてたみたいで…。」   プロレスラーみたいな体格の若い男性は、いえいえと言いながらあたしに紙袋を手渡した。   「タクシーで帰るの? 方向一緒なら送って行こうか。女の子の一人歩きは危ないよ。」   確かにこの町は東京と違って街灯も少なく、日曜日の夜は暗くて人気がない。あたしは彼の言葉に甘えて、一緒にタクシー乗り場に向かった。
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