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「ちょっ、手加減してよ!?」
頭を押さえながら、涙目でこっちを見てくる変態。
手加減も何も、お前が自分でぶつかりに行ったんだろうが。
でも一つだけ確認出来た。
どうやら簡単な魔術だったら魔力の暴発は防げるようだ。
少しだけ感謝してやる、馬鹿ソラ。
「で、何でお前らこんなとこに居るんだ?」
まだ文句を言っているソラはもう無視して、ふと疑問を俺は口に出す。
こいつらは普段ひきこもりしてるからな。
「そりゃー、大きな魔力の反応がしたからに決まってますよっ」
当たり前、とでも言いたげな顔をしながらリィが俺の疑問に答えてくれた。その後に続いた「何か面白そうでしたしっ」って発言は無視しといてあげよう。
質問に答えてくれたお礼だ。
…でも、確かに結構大きめの魔術を放ったが、こいつらが反応する程じゃないはず…。
「アスク、気づいてないのか…?お前今、魔力だだ漏れだぞ」
俺の表情を見て、ソラが苦笑いしながらそう、言った。
汗が俺の首元を流れて。
暑いはずなのに何故か寒気がしたのは気のせいじゃないはず。
まず、先に説明すると、魔力っていうのは肌で感じることが出来る。
その魔力が大きいほど感じ方が強く、離れていても感じることが出来る。
まぁ、どれくらい大きいかが分かるのは限られた人数だけで、魔力を感じることができる人もあんまり居ないが…。
で、余りにも大きい魔力を出すと、政府の犬…前言った警察組織にも気づかれてしまうわけで。
しかも俺、世界的に有名な指名手配犯。
そんな馬鹿な目に会うことはないようにいつも魔力を抑えているん…だが?
「え?…って!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」
…全く気付かなかった。
これも、この体の弊害か?
でも、一部の魔力か…、全部じゃなくて良かった。
すぐに俺は魔力を抑える…。
うん、抑えたかった…んだ。
「「逆に出してどうすん(ですか)だっ!?」」
お笑いコンビも顔負けの息ぴったりさ。
お前らその道進んだら?…ってやばいやばいやばい!!
そんなこと言ってる場合じゃねぇ!
「まさか…アスク、魔力が上手くコントロール出来ない…とか?」
魔力がやっと収まった頃に、ソラが恐る恐る俺に聞いた。
顔は笑ってはいるものの青白い。
…やっぱバレるか。
「ああ、そのまさかだ」
刹那、二人の絶叫。
はぁ…、これからどうなるんだか。
…その前にこの状況もどうするか。
自由に生きる、それが俺のモットーだったのに。
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