0人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日から数日が経ち、最近は梅雨で毎日のように雨が降っていた。
桜が完全に散って、風景に目のやり場を失っていた私は雨にその目をむけていた。
雨は好きだ。
無音から解放してくれる音、心地よく体を打つ雨粒は私の気持ちを安定させてくれる。
「なに見てんの?」
窓越しに雨を見ている私に誰かが話しかけてきた。
振り向かずともガラスに反射して映った彼は隣の隣の席の男子だった。
「外」
私は雨を見ながら言った。
「なんでいつも外ばかりを見てんの?」
「うるさい教室で説明するのもなんだから図書室に行きましょう」
私はそう言いながら、彼の手を握り率先しながら図書室へむかった。
最初のコメントを投稿しよう!