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5月の中頃、授業も終わり帰り支度をしていた。
入部期間は1週間前に終わり、クラスの大半の人は部活に足繁く向かっていた。
日直の私は、日誌を職員室に返さなければならない。
足早に職員室へ向かい、カゴの中に日誌をいれた。
後は帰るだけだったのだが、職員室の一番先にある音楽室からかすかな音色が聞こえてきた。
この学校には吹奏楽部も軽音楽部もない。
音楽の先生がなにかしている可能性はある。
どうでもいいことと思いながらも音色に引き寄せられるように音楽室に一歩一歩と歩を進める。
近づくにつれて音色がはっきりしてくる。
そして弦楽器の音色だということに気づいた。
「良い……音」
自然に出た言葉だった。
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