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音楽室に静かに入ると彼は私に背中を向けて孤独にヴァイオリンを弾いていた。
その姿は見るものを圧巻させるほど力強く、素人の私にも分かるほど綺麗な音色をしている。
綺麗な音色、それとは裏腹に孤独から広がる旋律、それは人を拒んでいるような雰囲気もある。
人を引き寄せる綺麗な音色と、人を拒む旋律は互いを補完しあうかのように混ざりあっていた。
「ねぇ、どうして1人なの」
「演奏中は喋らないで頂きたい」
彼は一瞥し、そう言った。
私は仕方なく近くのイスへ腰をかけた。
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