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二年前
六月五日 昼休み
俺は弁当を広げ、ハクを呼んだ。
「おーい、ハク。一緒に食おうぜ」
私立の中学に通う俺たちには給食という制度がなく、昼食は持ち込み。もしくは購買で購入。
「なんだ、アスカは私にメロメロですな」
「お前から告白してきたくせに」
「あれは若さ故の過ちさ」
「過ちだったのか!?」
俺はショックを受けてうなだれた。
「え?あれ?ごめんアスカ!言葉の選択ミスと言いますか、単なる勘違いです!」
慌てふためくハク。
俺は顔を上げてハクに尋ねる。
「本当ですかな?」
「あたりまえじや」
俺はニヤリと口元を歪めた。
「じゃあ、大声で『愛してる』って叫んでみろよ」
「‥‥マジで?」
「うん、そしたら信じてやらなくもない」
しばし沈黙。
「愛してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
その声は学校中に響き渡ったという。
「ハク、いきなり恥ずかしいことするなよ...」
俺はしらばっくれて言った。
「アスカがやれって言った」
「俺はそんなこと言ってませ~ん」
ハクは顔を真っ赤にして口をパクパクしはじめた。
「人にあんな恥ずかしいことさせておいて‥‥アスカもやれー!」
「いやですよーだ」
俺は走って逃げ出した。
キンヤがいる教室にたどり着き、回収してきた弁当を広げる。
《どうしたんだ?》
キンヤがきいてきたので、俺は一部始終を若干着色して伝えた。
《バカップル》
「そうだよ、わるいか?」
俺、木農日 アスカと、枯井 ハクは付き合っていた。
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