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六月八日 朝
俺が学校に登校すると、既にキンヤが席についていた。
始業時間が8:45、現時刻が7:30。日直だから早く来ている俺よりも早い登校。
キンヤがこちらを向いた。
《どうした?》
「お前、学校に来るの早いな~って」
それを聞いてキンヤはペンを走らせる。
《この学校にどちらが早く来るか競ってる》
「誰とだ?」
《磯川》
「あぁ、磯川か」
磯川 クスミ
学級委員長。眼鏡をかけていて、正直カワイイとは言えない。
《磯山の良さがわからないとは、まだまだガキだな。彼女は十分に魅力的だ》
「お前の趣味が特殊なだけだと思う」
《それは気のせいだ》
俺は磯山の机を見て、まだ磯山が登校していないことを確認する。
「勝ってるみたいだな」
《あぁ、十四連勝中だ》
十四...
磯山、やる気ないだろ。
その時、
「今日こそは勝ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅ!」
磯山が教室に現れた。
息を切らしながら、乱れた長い髪をかき上げ、教室の中を確認する。
《残念でした》
キンヤがスケッチブックに大きく書いて見せつけた。
「今日も負けたぅ...」
崩れ落ちる磯山。
メガネを外し、制服の胸元を緩め、衣服内の換気を行う。
「暑いぅ」
俺はそれを見て衝撃を受けた。
か、かわいい‥‥
普段、ビン底眼鏡のインパクトが強すぎて気づかなかったが、整った顔をしている。
「アスカ君、どうかしたぅ?」
「いや、なんでもないけど」
《言っただろ?彼女は魅力的だって》
キンヤがさりげなく俺にスケッチブックを見せた。
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