ゼロの物語

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六月十日 昼休み ハクが机にダレている。 「‥‥暑くね?」 「まぁ、梅雨時にしては暑いな」 「しかも、湿気がすごいからさ‥‥」 ハクが教室を見渡す。 「天然のサウナできちゃってる~みたいな?」 「たしかに、雨が吹き込むから窓閉めきってるし」 教室の中を霧が漂っている気がする。 「一般にサウナとして解放し、金を巻き上げてみたらいいと思うよね」 俺がハクの方を見ると、彼女の目は『$』になっていた。 「それは素晴らしいアイデアだね。売上の半分は俺によこせ」 「そいつぁ無理な相談ですぜ、ダ…ンナ…」 『ダンナ』と言った辺りでハクは顔を赤らめた。 おかしな想像でもしたのだろう。 そんなことを考えていると、ハクは再び口を開く 「ダンナ...」 今度の響きはなんだか色っぽかったぞ? 「アスカ、結婚しよう」 「俺が18歳になるまで待ってくれ」 「そんなに待てない!今すぐに結婚式の準備を!」 「落ち着け!」 「ハネムーンは世界中のサウナを旅しよう」 「サウナから離れろ!」 そして、ハクはまたグデーっと机に体重をあずける。 「暑い...」 俺はそんなハクを眺めながら思った。 俺はいつまでハクと一緒にいるのだろうか。 人生のうち、どれだけの時間を共に生きていくのだろうか。 「永遠に‥‥なんつって~」
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