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六月十二日 朝
ハクが学校に到着。
現時刻8:44分27秒
かなり遅刻ギリギリの登校。
ハクが学校に登校するのは、いつもこんな時間だ。
ハクは俺の隣の席に座る。
席替えは毎回、くじで行われるが、今回、念願の隣同士の席を得た。
「もう少し早く来いよ」
「いやだな、私は毎朝ニュースを欠かさず見ているだけさ」
情報社会では必須事項だぜ!
とか言いながらハクは親指を立てた。
「じゃあ、今日の朝の要チェックニュースを教えてくれ」
先生が出席をとっているが、特に気にせず話を続ける。
「う~ん。近所で起こってる誘拐殺人とか?」
連続女児誘拐殺人事件
小学生から高校生の女子を狙い、人目につかないところで誘拐。しばらく監禁し、殺害。
「酷い事件だな」
「私なんかカワイイから狙われちゃうね」
「そしたら俺が守ってやるよ」
ハクは目を細め、俺を眺める。
そして、
「頼りないなぁ~」
「うるせー」
ハクは自分が呼名されたときは適当に返事をし、なんとなく落ち着きがない。
「えーと、その、あのね?」
「なんだよ、ハッキリ言えよ」
「‥‥た、頼りにしてるから」
ハクは机に突っ伏した。
俺はそれを見て思わず笑顔になる。
「それにしても、」
あの事件が起きたの、かなり遠い所だった気がする。
「ちゃんとニュース見てないじゃん」
身近な事件じゃないよ、なんて言いながら俺はハクの頭を撫でた。
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