ゼロの物語

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六月二十三日 朝 「紫陽花、蝸牛、梅雨、六月は難しい漢字で満ちています」 ハクがため息を吐きながら言った。 「生きにくい世の中になったな、アスカ」 「俺をダメ人間の仲間に入れるな」 「アスカは私を仲間はずれにするの!?」 ハクがうなだれる。 俺は困って頭を掻いた。 「俺とハクはいつだってどこだって一緒さ!!」 「ありがとうアスカ!!私たちずっと一緒ね?」 「ああ約束さ!俺たちは永遠に一緒だ!!」 みんなの視線が痛い。 あんまり見るなよ~。照れるだろ~? ‥‥俺は一体、何を話してるんだか。 「でもさ、カタツムリとナメクジって仲間にみえるけど、カタツムリは風物詩でナメクジは害虫扱いなんだよね」 「まあ、イメージがあるから」 ハクがうなずきながら言う。 「私が思うに、殻がついていないヤツは嫌われるのだ」 「と、いいますと?」 「頭がカラッポの私はみんなに好かれるということさ」 あっそ  
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