ゼロの物語

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六月二十九日 夕方 自分のベッドに横たわり、天井を見つめる。 俺は、二年前の六月二十五日の朝刊を取り出した。 凶悪犯逮捕直後、模倣犯か!? 見出しには、ハクが奪われた日と変わらない文字で書いてあった。 俺も、この新聞と同じだな。 二年前と全く変わらない、おそらく、これからも‥‥ 「ハクは永遠にハクのまま、俺はあの日から一生、約束破りとして存在する」 きっと明日も明後日も罪は重みを増す。 結果として俺の心にはいつまでもハクが生き続ける。 とても、いいことだ。 それが、新たな悲しみを生んでも。 ハクへ 届かないかもしれないけど、 それでも言うよ。 世界で一番愛してる 間違いなく、それは過去の呪縛でしかないけど。  
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