ゼロの物語

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六月三十日 朝 「アスカ、今日は登校する間にカタツムリを見つけたのだ」 メグルが俺に迫る。 「だからどうした?」 「カタツムリとナメクジって仲間っぽいのに、世間の扱いが違うよね」 隙あらば唇を奪おうとするメグルを俺は間一髪でかわす。 「‥‥そうだな。昔に、同じ話をしたヤツがいたよ」 「それって女?」 「ああ、カワイイ女の子だった」 俺は笑いながら言った。 「少しだけ、お前に似てたかも」 「私の方がカワイイよ!!」 メグルが勢いよく俺に飛びついてくる。 「私はお姉ちゃんの次にカワイイ女の子なんだから」 メグルが頬を膨らませながら言う。 そんなメグルを見て、俺はいつかと同じように心の中で呟いた。 あっそ  
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