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七月三十日 午後三時
「おやつ~おやつ~♪」
メグルが冷凍庫を開ける。
「・・・え?」
冷凍庫の中を覗き込んだメグルの時が止まる。
「ない!アイスがない!楽しみにしていた定価450円のアイスがない!」
「どうした~メグル~?」
後ろからメグルの父、澄尾 カケルが話しかけた。
「私のアイスがな・・・い?」
振り返ったメグルの表情は困惑から驚愕へ切り替わる。
そして一秒と経たないうちに憤怒へ切り替わる。
「お父さん、私のアイス食べたでしょう?」
「・・・バレた?」
「現在進行形で食べてる人間が言う台詞じゃないよ!」
カケルの手にはメグルの目当てのアイスが乗っていた。
「返して」
「お父さんの食べかけでいいか?」
「・・・いやぁ」
それを聞いてお父さんハートブレイク。
「ついこの前まで『お父さん大好き』って言って風呂も一緒に入っていたのに・・・」
「何時代の話よ!」
メグルが顔を赤らめて叫ぶ。
「450円くれれば許したげます」
「じゃあ、はい450円」
カケルはポケットから450円を取り出し、メグルに渡す。
ポケットに450円が用意されていたところを見ると、初めから買い取るつもりだったらしい。
「もう、お父さんは運動不足なんだから自分でアイスくらい買って来なさい」
「はいはい、うちの娘は意地悪だなぁ」
「お父さん!!」
「わかりましたよ。俺が悪いんですよ」
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