11月12日、命日。

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康志の墓の前に一葉と子羽が立っていた。 二人は黒い喪服に身をつつみ手には白い菊の花をもっていた。 「一年ぶりだね…康ちゃん。」 墓の前で一葉は呟いた。 菊の花を墓前に捧げると二人で手をあわす。 しばらくの間一人一人近況を報告しあうように目をつぶっていた。 「お姉ちゃん…あのね…」 子羽が手を合わせながら口を開いた。 「…あの日…私ね。」 口を開こうとした子羽を一葉が制した。 「…いいの…いいのよ子羽。」 二人の間に沈黙が流れる。 「康ちゃんが子羽を守ってくれた。その事実だけで今はいいの…」 一葉は凛とした表情で康志の墓をじっと見つめていた。 「お姉ちゃん…」 子羽は空を見つめながら呟いた。 あれから一年の歳月がすぎていた。 二人は色んな事を背負いながら生きていた。 生きる意味を探しながら…
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