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三本空いたシャンパンのおかげでみなほろ酔い気分になっていた。
「でもお姉ちゃんほんと料理上手くなったよね。」
小羽が足を崩しながら言った。
「え?昔からじゃないんスか?康志さん。」
「えっ、いや僕が知っているのはずっと前からこの味だから…」
康志が一葉の方をチラと見直す。
一葉は康志の方を見てニコリと微笑んだ。
「だってお姉ちゃん、ほんと洋介みたいに味音痴だったんだから。でもお兄ちゃんと付き合いだしてからママに特訓してもらってたんだよ。」
「えーマジすか。康志さんメチャメチャ愛されてんすね。」
「そうだよ。お姉ちゃんはお兄ちゃんと結婚してほんとよかったと思うもん。幸せが滲み出てる感じがするし。」
「やめてよ。冷やかすのは…」
一葉は照れて下を向いてしまった。
康志も同じ様に下を向いている。
「あたし達とは正反対だよね。洋介もお兄ちゃん見習えばいいのに。」
「そりゃこっちのセリフだよ。お前も料理教室でも習いにいけば?」
二人は少し酔っているのか少し声が荒くなっている。
少し間が開いて一葉が口を開いた。
「二人はお似合いよ。私達にはない良いところが沢山あるもの。」
しかし二人はそれっきり口を聞かないまま時間だけが過ぎていった。
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