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そんな空気のまま小羽と洋介が帰った後一葉と康志が二人で後片付けを無言でしていた。
康志がチラチラと一葉の様子を横目で見やる。
それに一葉が気づいた。
「なぁに康ちゃん?」
ふっと康志は目線を外した。
「いや、あのー。」
康志は言葉につまる。
少しのあいだ静まった部屋のなかで一葉は康志の顔をずっと見つめていた。
「あれ、ほんとに昔味音痴だったのかなって、ほんと嬉しいって言うかなんて言うか…」
「ほんとだよ。私は康ちゃんの為に料理や家事をお母さんから習ったの。逆にいえばそれまで全然だったんだけどね…」
一葉が照れ笑いを浮かべた。
「うれしいよ。ありがとう。」
「どういたしまして。」
二人は少しの間黙ってしまったが後片付けをし始めた。
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