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「何を」
少しの間をおいて、私は視線を少女に向ける。
すると少女は、今の今まで不貞腐れていたことなど忘れてしまったかのような、曇り一つない笑みを浮かべた。
「ステラの故郷(ふるさと)のこと」
私は、少女とは逆に、眉根に皺を寄せた。
「またそれか」
「だって、気になるもん」
「話すことなど何もない」
「えー、ステラのけちー」
「ケチではない。例え話しても面白くないから話さぬだけだ」
「そんなの話してみなくちゃ分からないよう」
服の裾を掴まれ、早く話せと言うように、揺さぶられる。
されるが儘に揺れながら、私は再び溜息を吐いた。
「話さぬものは話さぬ」
断固とした意思を込めて言い放つと、少女は漸く静かになった。
これ以上問うても詮無きことと理解したらしい。
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