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「ゴウジョウなひと」 少女は頬を軽く膨らませ、微かな声で憎まれ口を叩く。 そしてそのまま後ろに倒れ込むと、その小さな身体は、殆ど草の中に埋もれて見えなくなってしまった。 「強情で結構」 私も同じような調子で憎まれ口を返し、視線を空へと戻す。 視界いっぱいに広がる、吸い込まれてしまいそうな深い青。 今となっては当たり前のように感じるが、昔は空がこんなにも青いものだとは思いもしなかった。 私がかつて住んでいた処は、遥か遠く、北の極寒の土地であった。  
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