まるで確認するように

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長い長い暗闇の中を永遠に落ちていく感覚だった。落ちていく間、大切な思い出が失われていった。もう顔もわからない女の子の顔。忘れてはいけないはずなのに、自分がひとり取り残されるようだった。 そして、自分の名前しか分からなくなった頃、俺は目覚めたんだ。 「……うぅ」 視界が明るくなる。 俺の中にあるただ漠然とした自分が死んだという事実。 立ち上がり周りの景色に意識を集中すると見た者に嫌悪感を抱かせる赤い空と黒い大地がどこまでも広がっていた。 覚えは無いが、少なくとも人間が住んでいそうじゃないな。 この場所がヤバイって事だけはわかる。身体中の肌がピリピリとして俺に危険を知らせている。 まずは動かないとな。 さっき見たとき特に目につくようなものはなかったから、適当に思った方向に進んでみる。こういう場合、直感が大事だってな。 我ながら適応力高いな。 自分自身に感心しつつ一時間近く歩いていると目の前に巨大な城が見えてきた。 そこに向かって足を速めるが一向に近づいた気がしない。 どんだけでかいんだよ。 あと、さっきから気になっているんだがハエがすごい飛んでる。あの城に近づくほど多くなってきている気がする。 ハエだらけの城に入るのは気が引けたが、疲れた体を癒すには入るしかなかった。
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