まるで昔話のような

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これを重く見た街の役人たちは犯人探しに躍起になります。 しかし、目撃者もいない状態で捜査は遅々として進みませんでした。 そんな捜査を嘲笑うかのように被害者は増えていきます。 切羽詰まった役人たちは証拠をでっち上げることにしたのです。 そしてある男が逮捕されました。街にようやく安堵の空気が流れるようになりました。 その翌日に裁判が行われました。内容は最初から彼の死刑に決まっていたのです。 「こんなの間違ってる!」 彼は最後まで無実を叫びましたが聞き入れられることはありませんでした。 「被告人、あなたは罪の無い善良な市民を殺害しました。間違い無いですね?」 「俺はやってない!ハメられたんだ!」 「……この期に及んでまだそんな事を言うのですか。これは万死に値します。処刑の準備を!」 「おい!待てってくれ!おかしいぞ、あんたら!」 彼の言葉はことごとく無視され着々と準備が進みました。 「…なんで……なんで俺が」 そう呟きながら処刑台の上に乗せられた彼の目の前に裁判官がやってきました。
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