まるで悪魔のような

まるで昔話のような

「最後の言葉を聞きましょう」

彼を見る裁判官の目は冷酷で何の慈悲も感じられませんでした。まるで「早く死ね」と言ってるように。

この時ばかりはうるさかった観衆も静かに彼の言葉を待ちます。

「……俺は地獄が有ると今まで信じたことはなかった」

彼はゆっくりと喋りだしました。

「だがもし、地獄が有るのならば俺は必ず地獄から蘇り貴様らを殺しに来る。」

「証拠をでっち上げ、俺を捕まえた役人も！」

「濡れ衣を被せた犯人も！」

「……全員だ。再びこの場所に戻ってくるその日まで覚えておけ！俺の名は───」

これが彼の最後の言葉でした。

この事件が人々の記憶から次第に薄れつつあったある日関係者が次々と不可解な死を遂げているのがわかりました。

そして街には原因不明の伝染病が流行しまた一人、また一人と倒れ、最後には街の住人全てが死に絶えました。

彼は本当に戻ってきたのでしょうか？真相は闇に包まれたままです。