まるで確認するように

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すると役人の一人が前に出てきて俺に書類を提示した。 「あなたに対して逮捕状が出ています。」 は? 今、何て言ったこいつ? 「ロイ・フォード、あなたを大量殺人の容疑で逮捕します」 こいつがそう言ったとたん後ろに控えていた奴らが一斉に俺を取り押さえにきやがった。 「どういうことだよ!? なんで俺が逮捕されるんだ!?」 そんな俺の叫びを無視し、素早く手足に拘束具を着けていく。 「これから裁判所に向かいます。話はそこで聞きましょう」 そう言って家の前に停めてある自動車に俺を押し込む。 痛い! 狭い! 苦しい! 両隣の体格の良いお兄様達のおかげで狭い車内がもっと狭くなった。 自動車が重低音を響かせながら整備された石畳の上を走りだす。 裁判所に向かう途中で、ニーナが通う学校の前を通った。校門の前で俺を待つ妹の姿を見て停めてくれと訴えたが聞き入れられなかった。 ここの法律では犯罪者には全ての権利を剥奪されるのだ。 話を聞くと言っていたが裁判所で俺に発言権が与えられるかどうかすら怪しい。
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