3人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
――雨の中、立ち尽くす彼に気付いたのは何時の事だったか。
五年前のあの日から『彼』は雨の日にだけ現れた。気付けば視界の隅に居て、そっちを見遣ると消えている。そして視線を外すとまた現れるのだ。
明らかに生きている者の所業では、無い。
生きている者でない―死人ならば『彼』は何の為に現れるのだろうか。
<理由―強い未練があるから死んだ人は現れる>何かの本で読んだ記憶がある。疑問を持った覚えも。
<強い未練を持っているのは死人か、それとも>
ダメだ。
ダメだ?何故否定した?何を否定した?ただの概念論ではないか。関係な、
本当に?
何故否定することを否定する?何故――
最初のコメントを投稿しよう!