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――同時刻――
「……雄二」
「隠し事はしていないぞ」
「……まだ何も言ってない」
「そうか。んで、俺の部屋に何の要だ?」
「……ただ遊びに来ただけ」
「わざわざ着替え途中の俺にクロロホルムを嗅がせて、意識を失ったとこをトランクス一丁で縛り上げる行為が、ただの遊びだと?」
「……これは警察ごっこ」
「シュールな逮捕劇だな。で? 本当はそんなことじゃないんだろ?」
「……確認しに来た」
「確認? 何を?」
「……試験の結果」
「どうしてまたいきなり」
「……妻は夫の全ての内情を知る義務がある」
「勝手に結婚させるな」
「……だから、見せて」
「断る、と言ったら?」
「……脚力には自信がある」
「バ…ッ! ちょっ、やめろっ! 股間は蹴るべき場所じゃねぇ…ッ! 脅しか!? これは脅しなのか!?」
「……脅しじゃない。雄二のためをもって言っただけ」
「そう思ってるならせめて服だけでも着させろ!」
「……それはできない」
「何故!?」
「……要求を呑んだら、犯人の思うツボ」
「お前はまだ警察のまね事をしてたのか」
「……警察に逆らったら、目を潰す《ブスッ》」
「ぎゃぁああっ!目が、目がぁぁっ!」
「……こうなる前に早く見せて」
「なってる! もう既になってる…っ! ていうか、今俺は持ってない!」
「……どこ?」
「燃やした」
「…………」
「や、やめろっ! 無言でトランクス脱がすな…!」
「……大丈夫、安心して」
「これのどこで安心しろと!?」
「……脱がすのには慣れてる」
「お前は変態か!? うおぉぉいっ! だから脱がすなぁ!」
「……変態じゃない」
「ならその手を離せ!」
「……じゃあ、見せて」
「だから今は持ってな――わかった…ッ! 出す! 出すから!」
「……本当?」
「あ、あぁ。後で出してやるから……」
「……なら、約束して」
「約束?」
「……破ったら、親の力で入籍させる」
「強行手段か!」
「……成績が低い場合も、然(シカ)り」
「死力を尽くそう。この命に変えても」
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