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「そうだな。場合によってはそうなるかもしれないな」
その笑顔を保ちながら、僕の右肩をガッシリと鷲掴(ワシヅカ)みにする鉄人の握力が、心なしかギリギリと肩の間接が恐ろしい音を立てながら次第に強くなってる気する。
今すぐ離したいのは山々だけど、鉄人の離すまいとするその意思が、握力を通して伝わってきた。
とてもじゃないけど逃げられない。
「やだなー、先生。ご冗談を」
「俺が貴様に冗談を言うとでも思ったか?」
これっぽっちもございません。
鉄人の握力が更に強く肩に食い込む。
まずい。これじゃトマトみたいに潰れてしまう。
でもとりあえず、鉄人にスキが出来るまでは捕まったフリはするけど、長期戦に持ち込まれれば明らかに不利な状況になるのは目に見えていた。
ただでさえ肩がツライのに、それを長時間持続されるとそのうちひしゃげるんじゃないかな?
肩の状態が心配なので、とりあえずこっそり右手だけでも確認しておこう。
まずは確認として……握ってみて、握力を確かめ―――ってあれ? おかしいな? 血の気もそんなに悪くないから感覚はあると思ったんだけど、動かないや。
血、止まっちゃったかな? なんだか痺(シビ)れを通り越して何も感じないや。
まさかとは思うけど、これヤバくない?
なんだか不安になってきたので、一先(ヒトマ)ず鉄人に訴えることにした。
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