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「ふむ…」書類に目を通した中年男性が、目頭を押さえる。
「パイロットは多いに越した事はないが…まだ少年ではないか…」ふぅと溜め息をつく。
分かってはいるのだ。ジオンの国力は連邦に比べて遥かに低い。いくら虎の子のMSがあるといっても、パイロットは多いに越した事はない。それが高いMS操縦技術を持っているなら尚更だ。
だが、だかしかし!このような、まだ幼さの残る少年が死地に向かうとなると…ましてや人の命を奪うとなると…やり切れない想いがする。
長い、本当に長い時間…静寂が辺りを包む。やがて中年男性は、ぼそりと呟く。
「恨んでくれるなよ…」
そして書類にこう記した。
リオン・ワーグナー
入隊年齢に達してはいないが、その高いMS操縦技術の為、特例として入隊を許可。また監督は入隊を薦めた両親である、ユータット・ワーグナー中佐とリリィ・ワーグナー少佐に見させる事とする。
階級は伍長とする。
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