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私には好きな人がいた。しかしナギちゃんも私と同じ人が好きだった。その事をナギちゃんは知らない。何故なら私はナギちゃんの気持ちを聞いて、ナギちゃんの為に身を引いて気持ちを隠し、ナギちゃんの恋を応援しようと決めたからだ。
今日、ついに内気なナギちゃんがラブレターを下駄箱に入れる事を決意した。
けれど、どうしても恥ずかしいからサエちゃん変わりに行ってきてと頼まれ私は分かったと答えた。
しかしいざ私は下駄箱の前に立つと、急に悔しくなった。何とも言えない怒りが込み上げてきた。頭で分かっていた。身を引かなければ。けど知らない間に私は手紙を握り潰していた。
その時、悲鳴があがった。ナギちゃんの声だった。声の方向を見るとナギちゃんが泣いてこちらを見ていた。
なんだ。見ていたのか。
「なんで?なんでそんな事するのよ!最低よ!信じてたのに、この裏切り者!」
それだけ吐き捨ててナギちゃんは走ってどこかえ行ってしまった。
そして私も泣いた。
その後、私は直ぐに家に帰らず暗くなるまでずっと歩いていた。
私は周りが暗い中、草の中に温かな光を見つけた。
「なんだろう?」
近づいて見るとそれは蛍だと気付いた。
うわー、綺麗。それに何だか温かくて落ち着く。
しばらくの間、私はその蛍に見とれていた。
触ってみたくなって草の上に乗っている蛍を自分の手の上に移した。
蛍は私に全く警戒心を抱かず逃げずに手の上に居続けた。
私は何だか嬉しくなり、家族にも見せたいと思い手の上に蛍を乗せて家の方向に歩き出した。
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