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蛍の光は現れたり消えたり点滅していた。全体は黒で肩の辺りが赤色をしていた。
「あなた、意外と男前ね。あ、でも雌かもしれない。どちらにしてもカッコイイからいいか」
なんて事を楽しく話し掛けたりした。
さっきまで泣いていたのが嘘のようだった。
蛍を手に乗せたまま家に到着できた。
玄関の前に立つ。私の家の玄関は引き戸で、農家らしい玄関だ。家は広くて一階は和室が多い。二階には私と弟の部屋があり、洋式となっている。
「ただいま」
家の中に入るとお母さんが怒った顔をして立っていた。
やば。私は心の中でやってしまったと思った。
「こんな時間までどこにいたのよ!心配したじゃない!女の子がこんな夜遅くまで遊ぶんじゃない!」
「だって…その…」
私が言葉を濁しているとお父さんが喋った。
「まあいいじゃないか。無事で帰ってきたんだから今は喜ぶべきじゃないかい?」
「また、あなたはそんな甘い事を言って。甘い為に同じ事を繰り返したら、どうするのよ」
「ごめんなさい。もう遅くまで外をうろつきません」
今回は心配をかけてしまって悪いと思ったから素直に謝った。
「あら、やけに素直に謝るのね。まあ反省しているなら許しましょう」
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