第八章 重なった三重奏

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「では、9年前と聞き、何か心あたりはありませんか?」 「きゅ、9年前…!」 途端に、宗吾の動揺のイロが濃くなった。ギョッと青ざめ、目がオドオドと泳いでいる。 この尋常じゃない宗吾の反応を見て、要はやはり何かあると確信した。と同時に、側で二人の会話を聞いている沼津が、怪訝な顔でこっちを見ているのにも気づいた。 「すいません沼さん、取り調べに横槍をいれてしまって」 要はすぐ様、沼津に謝った。 「そんな事はどうでもいい。だけど、久住、何故、そんな事を聞くんだ?大体、前の二件とこのヤマは何の関係もないはずだろ?」 「はあ、ええ、まあ、それはそうなんですが…」 尋問のように沼津に問われ、要は答えに困ってしまう。 「そ、そうですよ!さっきから関係ない事ばかり!」 宗吾もまた、沼津の参戦により、水を得た魚のように、青ざめた顔を元に戻し、ムキになって噛みついてきた。
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