639人が本棚に入れています
本棚に追加
/377ページ
「おい、どうしたんだ、久住、そんなとこで?」
思案に暮れる要の耳に、覚えのある声が聞こえてきた。振り向くと、そこには、いつの間にか村木が立っている。
「お疲れ様です」
要は壁に寄り掛った体を、サッと起こした。
「それより、また殺人事件だそうだな。それも、あの南雲宗治の息子の犯行らしいな」
「ええ、今度もまた、本人は容疑を否認してますけどね」
要は含みを籠め、言った。
「そうか…これで三件揃って、被擬者は容疑を否認、か…」
「はい、そして、南雲宗吾もまた、箕輪らと9年前で繋がっているようです」
「ああ、そのようだな…」
「えっ!なんで村木さんがその事を?」
知っているかの村木の口ぶりに、要は驚いた顔を向けた。
「と言っても、俺の調べた情報では、箕輪達と繋がりがあるのは、殺された親父の方だがな」
「南雲宗治が、二人と?」
要は意外そうに眉を潜め、聞き返した。
最初のコメントを投稿しよう!