第八章 重なった三重奏

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「おい、どうしたんだ、久住、そんなとこで?」 思案に暮れる要の耳に、覚えのある声が聞こえてきた。振り向くと、そこには、いつの間にか村木が立っている。 「お疲れ様です」 要は壁に寄り掛った体を、サッと起こした。 「それより、また殺人事件だそうだな。それも、あの南雲宗治の息子の犯行らしいな」 「ええ、今度もまた、本人は容疑を否認してますけどね」 要は含みを籠め、言った。 「そうか…これで三件揃って、被擬者は容疑を否認、か…」 「はい、そして、南雲宗吾もまた、箕輪らと9年前で繋がっているようです」 「ああ、そのようだな…」 「えっ!なんで村木さんがその事を?」 知っているかの村木の口ぶりに、要は驚いた顔を向けた。 「と言っても、俺の調べた情報では、箕輪達と繋がりがあるのは、殺された親父の方だがな」 「南雲宗治が、二人と?」 要は意外そうに眉を潜め、聞き返した。
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