第八章 重なった三重奏

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なにせあの事件は、決め手となる証拠も上がり、犯人逮捕で完全決着がついている。宗吾が関わっているとは、とても考えられない。 とは言え、今の時点で、三人を結びつけるとすれば、9年前の幼女事件しか浮かばない。 事実、三人は揃って、9年前の何かを隠そうとしているし、特に宗吾に至っては、9年前、父の宗治が取った不可解な行動がヤケに気になる。 室山が幼女事件の弁護を引き受けた途端、面識すらもなかった人間に、急なモーションをかけるだなんて不自然過ぎる。 それに、当時の宗治は世間に名を轟かす程の有力な国会議員だった。たかが一階の雇われ弁護士に、しかも、自分の親族との縁談まで強引に押し切ったとゆうのだから、何らかの意図有りきの接触だったと見てとれる。 現に室山は、被擬者の無罪で争っていた幼女事件裁判、籍を入れたタイミングで一変させている。宗治との間で、何らかの密約が交された可能性は否めない。
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