第八章 重なった三重奏

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だが、もし密約が交されたのだとして、どんな内容だったのだろう。否、むしろ、宗治側はそうまでして、何を隠さなければならなかったのだろうか。 幼女事件は、被擬者を確実に有罪へと導けるだけの、確固たる証拠がある中で行われていた裁判だ。いくら、室山が被擬者の無罪を主張し続けたところで、勝訴に出来たとも思えない。 それをわざわざ、有力な国会議員だった南雲宗治が、一雇われ弁護士にしか過ぎなかった室山にアプローチを図ったり、自分の親族との縁談までも取り計らったりと、何故、そんな口を塞ごうとするかのコザカシイ妙な真似を…。 考えれば考える程、要は同じ道をグルグルとループさせられてしまう。 「それともう一つ、これは確定情報ではないが、当時、箕輪が署長に就任する際に、ある噂が警察内部で流れたようだ」 一人迷走している要に、村木は声をかけた。
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