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「噂、ですか?」
要はハッとなり、村木に目をやった。
「まあ、一階の巡査が一気に署長にまで昇り詰めたんだ。周囲からのやっかみがあっても仕方はないだろうな。それに、火のない所に煙はたたんと言うしな」
「それで、どんな噂だったんですか?」
もったいつける村木に、要はじれったそうに催促した。
「箕輪の急な出世は、ある大物政治家に裏で手を回して貰ったとゆう噂だ」
「ちょっと待って下さいよ…大物政治家って、まさか!?」
要は瞬時に、南雲宗治が頭に浮かんだ。
「ああ、そのまさかだ。某政治家の献金疑惑の捜査にあたっていた二課の連中が、たまたま張り込み先の料亭で、箕輪と南雲が会食しているのを目撃したそうだ。それで、丁度、時期も合致するし、そうゆう噂が流れたようだな」
「じゃ、じゃあ、箕輪さんは南雲宗治を知っていた…」
「ふんっ…そうゆう事なんだろうな」
村木は鼻でなじり、なんとも歯切れの悪い言い方をした。
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