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「由実さんたら、ぼんやりしちゃってぇ……森さんのことでも考えてたんですか?絵になってるぅ」
「いや、別に……」
「ここは森さんの特等席ですよ!
由実さんが卒業して、バイトやめてからもたまに来てくれて、
いつもここに座って、難しそうな本読んでたぁ……カッコよかったなぁぁ」
「あっそう。
たまに来てたのは知ってたけど、席までは……。難しそうな本ってどんな?」
「経済……系な?」
「あんたも読みなさい。またするんでしょ、就活」
「いや~もう全っ然やる気ないですよぉ。
あっ!!そういえばあの時も、この席でしたね。待ちなさい森真二郎っ。電話番号を教えなさい!!あの時の由実さんもカッコよかったなぁぁ」
「……よし、じゃあ行こうか」
「やぁーん由実さんたらぁ。今、思い出話に花が咲きつつあったのにぃ」
「続きはあとであとで」
私は立ち上がりレジへと向かった。
待ちなさい、森真二郎!
電話番号を教えなさい!!
二人で詩織と礼央くんのことをなんやかやと
話しあったあと、
私はたしかに、帰ろうとする彼をそう言って呼び止めた。
彼は
「はい喜んで」
と、居酒屋の店員のような返事をして
レシートの裏にすらすらとメアドと電話番号を書いてくれた。
「ただし、すぐ連絡しろよ」
「すぐ?なんで?」
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