岩崎由実は主婦の敵です

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「嘘、嘘。ちゃんと作るよ。待ってな」 「わぁ。どんなのが出てくるのか楽しみですねっ」 まどかが目をキラキラさせている。 やがて出てきたカクテルの色は 「由実ちゃんといえば、これだよね」 鮮やかな青……私の好きな色。 「そぅおー?嬉しい。私明日青いドレスなんだぁ」 「由実さんパーティーですか?」 「友達の結婚式よー。私の友達、西沢くんと結婚するんですよぉ、工藤さん」 「西沢って、秀樹?ダイニングニシザワ?あいつ結婚すんの?」 「そうそう。実は彼相当なお坊ちゃまだったんですね~」 「相当だよ。秀樹にはいずれこっちにチェーン展開してもらって、俺、雇ってもらおうと思ってんだよね」 「何年先の話よ(笑)。ボンボンだとは聞いていたけどレベルが高すぎて……あれほどとは……。だから気合い入れて買ってみましたよ。マキシ丈の、ワンピというより、それドレスだろっていうのを」 「素敵ー。由実さん明日はそれでお坊ちゃまの友達をゲットですね」 「軽く2~3匹釣りたいわね~。あんたの大好きな森さぁん、も来るわよ」 言いながら、カクテルに口をつけてみた。 「あっおいしぃ」 「ジンベースだから飲みやすいだろ」カウンター越しの工藤さんが満足気に微笑んでいる。 「この、青の中にチェリーが入れてあるのはどんな意味が……?」 まどかが聞いた。 「それは、由実ちゃんの心。純粋で情熱的な心」 純粋で情熱的……? 私が……??
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