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俺はそのメールを、すぐに見ることは出来なかった。
「青木先生っ。ご自宅からお電話入ってますよ」
職員室で、ななめ前の席に座る学年主任(女)に声をかけられた。
すげぇ睨んでる。俺が電話とらなかったからだ。
ぼーっとしてて外線の音に全然気付かなかった。反省。反省。
「携帯がずっと通じないのですみませんって、お母様恐縮されてますけど」
「今日自宅に忘れてきてしまったもので……。すみません、2番ですね」
電話に出ると、母は慌てた様子でこう言った。
「優也が事故に遭って病院に運ばれた……」
すぐ病院に行ってほしい。
俺は急いで病院に向かった。
こんな日に携帯を忘れるなんて、父親失格だな。
頼む頼む………無事であってくれ……!!
祈るような気持ちで病院へ行くと、
「あっお父さん」
えっ?
優也はベッドで普通に起きていた。頭に包帯をしていたが。
「真二郎くんごめんね。私、気が動転していて……」
普段冷静な義母が、めずらしくおろおろしていた。
「えっ……と、交通事故ではなくて?遊具から落ちて脳震盪(のうしんとう)……?」
「脳は検査の結果異常ないけど、明日もう一度いろいろな検査を。あとは肩の軽い捻挫と、おでこに傷が……」
「そうですか……」
「ごめんね大騒ぎして……。二人とも連絡がとれなかったから慌ててしまって……」
「すみませんでした。お義母さん」
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