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「まったく、優美子はどこに……!!」
「今日は映画を観ると言ってたから、携帯の電源を切っていたんだと思うのよ。
さっき連絡がとれたから、そろそろ……」
その時、誰かが部屋に入ってきた。
「大沢先生……」
幼稚園の先生だった。
まだ若い、その優也の先生は、俺の顔を見るなり頭を下げた。手にはペットボトルを持っていた。
「申し訳ありませんっ。私が目を離したすきにこんなことが……」
「先生、もういいからいいから……。
仕事に戻っていいよって言ったのに、お父さんかお母さんがいらっしゃるまではって……」
まだ若い彼女には初めての経験なのだろう。肩を震わせて、義母になだめられている有様だ。
「先生、いいんですよ。もう大丈夫ですから。幼稚園に戻って下さい。今までついててくださって、ありがとうございました。
な、もう大丈夫だよな。優」
「うんっ。大丈夫だよ」
「あ……それじゃあ、私は……失礼します……。あの、これ、皆さんで飲んで下さい……」
ペットボトルのお茶やミルクティーを置いて、彼女は帰った。
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