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獄寺の手が、山本の顔に向け発射された。
「あはは、獄寺照れてるのなー」
それを、簡単に避けられる山本は凄いと思う。
獄寺の手がワナワナと震えている。
今時ワナワナは古いと思った。
断じてダジャレではない。ちょっと意識したけど。
「お前に、嫌いなモンとかあんのかよ。」
冷静さを取り戻したらしい獄寺が、面倒そうに聞いた。
「んー…あんまねぇけど、獄寺が一番好きだぜっ」
しばらく考えていたが、最終的に何度目かのその台詞に落ち着いたらしい。
「…っ///そうじゃなくてっ」
何度目かの台詞にもまだ慣れていない様子の獄寺は、顔を赤くしながら否定した。
すると、何かに気付いた様に山本が「あぁ、」と言った。
「大丈夫だって。オレが好きなのは獄寺。他の皆は友達とかそういう好きだから。心配すんなって。でもなー…そっかー…獄寺がヤキモチかー…成長したのなー…」
遠い目をしながら言う山本は、視線を窓の外―外に向けた。
「違ぇ…よ…!!」
とは言うが、赤くなった顔とパクパクと何か言いたそうにしているところを見れば、その通りだと言っている様なモノだ。
「お前、何か欲しいモノとかあるか?」
「獄寺。」
ゴンッと、獄寺が山本の頭を机にぶつけた。
突然の質問とはいえ、素でその答えは無いと思う。
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