∽終わりへの始まり∽

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家々の間には田んぼが点々とし、最近植え付けられた稲が青々しく風に揺れている。   「あら、おはよう。」   近所のおばさんが玄関掃除をしながら挨拶してくる。   愛想よく笑ってやり過ごす。あのおばさん捕まると立ち話長いからな。   おばさんの姿が見えなくなると林が両脇にずらりっと立ち並ぶ人気のない細い道に入る。   景観が良く、風に背中押されながら鼻歌混じりで歩く。   暫く経ち、ぱっと目の前に車通りの激しい大通りが見える。   朝の通行ラッシュのせいで先ほどの静観さは消え失せ、道路は沢山の車が行き来している。   携帯を見ると時刻は8時45分。   横断歩道を渡り歩道を右に道なりに行けばすぐに学校だ。   時間からして余裕余裕。
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