《しばしのお別れ》

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今井 「違います。私が管理人に就任した時、既に『メゾン・サブリナ』は存在してましたから」 安原 「では、一体誰が?」 今井 「(含んだ物言いで)さぁ、誰でしょうねぇ」 安原 「教えて下さいよ」 今井 「誰かなぁ?」 安原 「教えろ!」 今井 「(テンションが下がり)えぇ、そんなぁ」 安原 「教えて下さい!」 今井 「……恐らく先代の管理人さん」 安原 「なぜ『サブリナ』なんです?」 今井 「さぁ、なぜでしょうねぇ」 安原 「(今井を睨む)」 今井 「いやいや、理由は本当に知りません」 安原 「本当ですか?」 今井 「本当です。神に誓って」 安原 「じゃあ聞きましょう。今すぐ電話。ほら早く」 今井 「無理ですよ」 安原 「どうして?」 今井 「十年前に他界しましたから」 安原 「なんてこった!」 今井 「残念でした」 安原 「なぜ死ぬ前に聞いておかなかった!」 今井 「そんな事言われましても」 安原 「気になるじゃないか! 一生気にして生きろと言うのか!」 今井 「噂は噂のままにしておきましょう。都市伝説ってヤツですよ」 安原 「そこまで大層な事ではない」 今井 「一生気になるんじゃなかったんですか?」 安原 「気にはなりますが。そこまでは」 今井 「そうですよね」 安原 「そうです」
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