始まり

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不測の事態に軽い驚きを感じながら、俺は立ち並ぶ木々に身を隠した 一刀 「………」 タッタッタッタッタッ 一刀 「(……ゴクッ)」 口内に溜まった唾液を飲み下す音が、やけに大きく響いて聞こえる 一刀 「(どうする………?)」 頭の中で思考を巡らせ、いざという時のためにガキの頃からやっている剣術を思い出し刀を握る タッタッタッタッタッタッ 迫ってくる足音は、まるで俺を焦らせるように近づいてくる 一刀 「あー、くそ……っ!」 イチかバチか、やるしかないっ! ………………… 一刀 「待てよっ!」 隠れていた場所から飛び出し、前方から走ってきた人影を制止した 男子学生 「………」 立ち止まった少年は、資料館に展示されていた鏡のようなものを小脇に抱え、制止した俺を威圧するように睨み付ける 一刀 「………」 ああ、最悪の予想が現実になっちまった…… 男子学生 「誰だ貴様。俺に何のようだ?」 一刀 「何のようも何も。おまえ、その手に持ってるやつ、なんだよ?」 男子学生 「………」 一刀 「どっから持ってきたんだよ?っていうかおまえ、この学校の生徒じゃねーだろ?」 男子学生 「だからどうした?」 一刀 「あのなぁ……子どもの頃に言われなかったか?勝手に物を取ったら泥棒です───おっと」
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