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ヒュッ、ビュッ、ゴゥッ
四方から繰り出される打撃が、禍々しい風切り音と共に襲いかかってきた
一刀
「くっ………」
目を、眉間を、こめかみを、喉を─────
あからさまに急所だけを狙ってくる
武器も持たず素手だと言うのに、一つ一つがまるで真剣のような鋭さをもっていた
その一つ一つを避け、受け流し────体勢を立て直そうとする
男子学生
「……チッ、本気でしつこいなおまえ」
一刀
「うるせぇ!いつまでも調子にのんなよ、はっぁーっ!」
ヒュンッ!
ドカッ
男子学生
「むっ……?」
一刀
「はぁぁぁぁぁ~~~っ!」
ブンッ、ビュンッ
男子学生
「くっ!?」
一刀
「逃げんな、コラッ!」
男子学生
「……チッ」
一刀
「ワケ分からんことばっかほざきやがって。とっ捕まえて警察に突き出してやる!」
男子学生
「……やれるものならやってみろ」
一刀
「やってやらぁ!らぁぁぁ~~っ!」
気合いを乗せた逆刃刀を渾身の力を込めて振り下ろす
ヒュンッ!
男子学生
「ふんっ!」
ビュンッ!
バシッ!
一刀
「ちょ、いくら逆刃刀だからって……拳で刀を受け止めるなんて、おまえ、正気かよっ!?」
男子学生
「ふんっ。それぐらい造作もないわ。……しかし、このままではラチがあかんな。おまえに付き合うのも飽きた。さっさと消えろ」
苛立たしげに言葉を放ち、少年は腰を落として拳を構えた
一刀
「………っ!」
その途端、少年の雰囲気がガラリと変わった
まるで全身が抜き身の日本刀にでもなったような、息が詰まるほどの殺気が伝わってくる
一刀
「………」
俺も刀を鞘に納めて抜刀術の構えを執る
周囲の空気が、その温度を急激に下げたかのような錯覚に襲われる
背中を伝って流れ落ちる汗
その汗さえも冷たく、まるで氷のように俺の心を恐怖に濡らす
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