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男子学生
「───────」
獲物を狩る猛獣のように息を潜め、少年は俺の動きを観察していた
そして俺も、遅れを取らないよう少年の動きを観察していた
一刀
「─────」
そんな中、俺は掌に感じる刀の束の感触だけに意識を集中させた
男子学生
「どうやら覚悟は決まっているらしいな。……ならば苦しまないように殺してやる」
一刀
「やれるものなら……やってみろよっ!」
俺に対する静かな殺意の波動を、己の気で拒絶する
一刀
「爺ちゃん直伝、薩摩隼人の気概、ナメんじゃねぇぞコラァ!」
男子学生
「良い度胸だ。なら死ねよーーーーーっ!」
カッ
ヒュンッ、ビュンッ、フォンッ!
地面を蹴る力強い音と共に一気に距離を詰め、流れるようなコンビネーションで放たれる蹴りに
一刀
「死んでたまるかよーーーーっ!」
感情を爆発させながら、逆刃刀を引き抜いた
ヒュンッ!
地に足がめり込むほど強く踏み込み、電光のように逆刃刀を走らせる
少年の蹴りよりも一歩早く、横一線に吸い込まれていく逆刃刀の軌跡に
一刀
「入った」
そう確信した瞬間────
ビュンッ!
死角から襲いかかってきた少年の蹴りが、俺の顔面に迫るが刀を引き避ける
一刀
「……くっ!」
少年の蹴りで逆刃刀の軌跡がずれた
男子学生
「……っ!?」
その軌跡が予想外だったのか、少年が一瞬怯む
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