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カンッ…カンッ…コンッ…
一刀
「ふぃ~~~~……」
工場内に響く鉄を叩く音を聞きながら、流れ出る汗を拭う
一刀
「いくら冬と言っても、やっぱり暑いなぁ。工場は」
及川
「ホンマやな。よう居るなこんな所」
一刀
「うぉっ!?」
及川
「やほ、かずピー、おひさ~♪」
一刀
「お、おひさじゃねーよ。いきなり湧いて出んなよ!」
及川
「いきなりって。俺、さっきからずーっとここに居ったのにぃ」
一刀
「マジか?全然気付かなかった……」
及川
「女の子叩くのに熱中してたらアカンで、北郷サド左右衛門」
一刀
「誰がサドだ、誰が。……んで?おまえ、一体何しに来たんだよ?」
及川
「かぁ~!すっかり忘れとるやん自分!」
一刀
「忘れる?おまえと何か約束してたっけ?」
及川
「してたかもクソも!冬休みに入る前に理事長から全校生徒に向けて宿題が出たやろうが!」
一刀
「宿題?……………………………あー」
敷地内に歴史資料館を造ったから、休みの間に見学して感想文を書けとか言ってたな
一刀
「そういや一緒に行こうぜって話をしてたっけ」
及川
「思い出したかい。……んでや。それを今日、まさに今から行こうやないか、と。そう思ったワケや」
一刀
「んで俺を呼びに来たのか。……ま、別に構わんが」
言いながら、そこら辺にある道具やその他諸々を片付ける
一刀
「それにしてもえらく急に思い立ったな。いつ行くか決めてなかったのに」
及川
「ま、ついでって奴?」
一刀
「ついでー?何のついでだよ?」
及川
「で・ぇ・と♪に決まっとるやないかー♪」
一刀
「……チッ」
及川
「ムフフーッ!ってワケでかずピー早く着替えてきてなー♪」
一刀
「はぁ……わぁーったよ!」
幸せ一杯夢一杯なツレの笑みに、何だか負けたような気がした俺は、吐き捨てるように返事をしたあとで及川に背を向けた
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