桃園の誓い

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一刀 「でも、どうしてこんなことに?」 目の前には劉備、張飛、関羽なんていう三國志に登場する武将の名前を名乗る女の子が居て 幽州だの洛陽だの、大陸の土地名を言っていて 一刀 「これは……夢?」 悪い夢さ、なんて言ってくれるイケメンも居らず、正直呆然 ────と、思わず思考止まってしまった俺に向かって 劉備 「ねぇねぇお兄さん。お兄さんってもしかしてこの國のこと、何にもしらないの?」 劉備と名乗った少女が、何かを期待したような光を瞳に浮かべ、俺の顔を覗き込む 一刀 「知らない。……いや、知識としては知ってるんだけど。でもその知識の元って、俺が居る時代よりも遥か昔なんだよなぁ」 と、そこまで言って、とある単語が頭の中に浮かんだ 一刀 「……タイムスリップ?」 もしくはタイムリープってやつ?……過去の世界に来たってことか?ははっ、アニメや漫画じゃあるまいし 劉備 「……?」 けど、この子の服装なんて、現代では考えられないぐらい奇抜な服だもんなぁ。ゲームのキャラっぽいというか 一刀 「……認めるしか無い、のかな?」 劉備 「何をー?」 一刀 「んー……今の自分の立場というか状況というか。そういう非現実的なものを認めるしかないんだなって。つまりはそういうこと」 劉備 「つまり?」 一刀 「つまり……もしかしたらタイムスリップして、過去の世界にやってきたのかなーって そうだよなー。タイムスリップした人間が元の世界に戻れないってだけで、本当はタイムスリップってあり得ることなのかもしれないし、うんうん。きっとそうに違いない」 なんて一人でうんうんうなずいて自分を誤魔化そうとやっきになっていると 張飛 「お兄ちゃん、もう少し鈴々たちに分かる言葉を使って欲しいのだ」 張飛と名乗っていたちんちくりんな女の子が、困ったような顔で訴えてくる
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