桃園の誓い

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天の御遣いが劉備の傍に居る……というだけで、人は劉備に畏敬の念を抱き、その行動を注視するようになるだろう 注視するようになればこそ、劉備の行動に共感する人間や心服する人間が、飛躍的に増えていく。それが知名度であり、名声ってものだ ただ──── 一刀 「(……一体、俺はどうすりゃ良いんだ?)」 俺はなぜこの世界に居るのか───。そもそも、なぜ俺なのか。それが分からない。分からないをだけど…… 一刀 「(分からないけど……分からないなら、いくら考えたって分からんか)」 元々、こういう堂々巡りになりそうな考えに時間を割くよりも、行動する方が得意なんだ それに……… 一刀 「(世に生を得るは事を為すにあり……って言葉、爺ちゃんが良く言ってたっけ)」 今、俺がここに居る理由……それが何なのか分からないけれど、きっと何か意味があるからこそ、俺はこの世界に来たんだろう なら、今、目の前にいる……劉備、関羽、張飛って名乗っている女の子たちこそ、『事を為す』ための切っ掛けなのかもしれない 一刀 「(……よし)」 体を捨て、待を捨て去れば、心は自在になる それこそ、俺が爺ちゃんに教えて貰った剣術の極意ってヤツだ その教えに従い、自在奔放に行動すれば、いつかは事を為すことが出来るだろう ……その『事』っていうのが今はまだ分からないけれど
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