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「少なくとも,僕からは言えないんだよ美弥…。
僕の立場も分かってくれ。」
腕の中でもぞもぞと動く美弥を逃がさないようにしながらも,睦は優しく言った。
「では父上に直接お聞きします」
そう言うと美弥はまた念を組み始めた。
霧が現れ,服が黄金色の着物に変わる。
「美弥…そんなに気を立てなくても…。」
睦のその言葉と同時に2人は客間から姿を消した。
飛んだ先は王室の前。
本当は部屋の中に直接入ることもできるが…礼儀というものがある。
「なぜ着いてこられたのです?」
美弥は今だに自分を抱きしめている睦の顔を不満そうに見た。
「何故って…君と僕が触れ合ってる状態で術を使ったから,僕まで一緒に飛んだんだろ。」
「…。」
ムスッとした顔をする美弥。
美人は台無しだが,こういう時々見せる幼さも可愛く、睦はその可愛さに惚れ込んでいる。
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