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「それで美弥姫様?
王に何かご用があったのかね?」
「ええ。ちょっとお聞きしたいことがありまして。」
美弥は笑顔で答えた。
しかし…
「止めなされ。」
おばばは美弥を真っ直ぐ見て言った。
途端に美弥の笑顔は隠れ,王女らしく,凛々しい声でおばばに問う。
「何故です?」
しかしおばばは美弥の問いに答えようとはしなかった。
「睦殿?あなたはまた美弥姫様に話されたのかね?」
突然話を振られた睦は驚いた様子だったが,すぐにおばばの言いたいことを察した。
「申し訳ありません…。
もちろん今回は内容までは話していませんが…その…。」
さっきまでの睦と違い,自信のない話し方をする。
「全く…前から言っておるが,睦殿は美弥姫様に甘過ぎじゃ。
いくら恋人と言うてもなぁ,それでは大臣として問題がありますぞ。」
「申し訳ありません…。」
若いとは言え大臣職を任されている睦でも、古顔のおばばの前では頭が上がらないようだ。
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