序章

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本来念というのは,他人への思い遣り気持ちをもって術を成すのじゃ。 つまりは人助け、高揚の気持ちを目的とする。 何故こうなってしもうたのか…。 どこで道を間違えたのか…。 戦いなどという野蛮な行為に使われるべきものでは無いのにの…。 今じゃ思い遣りの術を学ぶよりも,戦いの術をより多く習得したがる者ばかりとなっておる。 戦いによる自分の利得のためにの…。 本に悲しい話じゃな…。 おばばはなぁ,美弥姫様。 おばばは…こんな世界は嫌なんじゃよ…。 美弥姫様も,幼き千代姫様も安全に暮らせる世はいつ来るのかのぉ…。」 その時初めて,おばばの涙を見ました。 そして初めて…念使いとして生まれたことに微かな戸惑いを抱いたのです…。 5歳の春のことでした。
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